風邪

(Q1)風邪をひいて受診される患者さんのなかに、「早くなおしたいから注射をしてほしい」という方がいますが、注射をすると本当に早く風邪がなおるのでしょうか?

(Q2)「風邪を引いたらお風呂はダメ!」というのは本当でしょうか?

(Q3)よく風邪は人にうつすと治ると言いますが本当でしょうか?


(Q4)インフルエンザと普通のかぜはどう違うのですか?


(Q5)インフルエンザにかからないためにはどうすればよいのですか?


(Q1)風邪をひいて受診される患者さんのなかに、「早くなおしたいから注射をしてほしい」という方がいますが、注射をすると本当に早く風邪がなおるのでしょうか?

(A1)残念ながら、注射をしたからといって、風邪が早く治ると言うことはありません。風邪を根本的になおす薬がまだできていないからです。風邪の場合、対症療法といって症状を和らげる薬と、風邪のウイルスによって障害を受けた気管支から細菌が侵入して起こる肺炎などの合併症を防ぐための薬を使うのが一般的です。これらの薬は、内服薬で十分であり、むしろ内服薬の方が種類も多く、治療効果も上と考えられます。風邪で注射を依頼された場合、ビタミン剤などを使用することが一般的でしたが、現在ではこのようなビタミン剤の使用は保険では認められておりません。また、抗生物質を注射で投与するというのは、明らかな細菌感染症で重症の場合です。病院に行って注射をしてもらったから元気がでたと言うような場合は、心理的な効果がプラスされているものと思われます。
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(Q2)「風邪を引いたらお風呂はダメ!」というのは本当でしょうか?

(A2)「風邪をひいたらお風呂はダメ!」というのが、昔は常識でした。でも、今は違います。風邪気味でも熱がなく元気であればお風呂に入ってかまわないのです。一日を通して三七、五℃以下でしたら、湯冷めに気をつけてお風呂に入っても構いません。お風呂の蒸気はのどに適度の湿り気を与え、皮膚を清潔にして新陳代謝を高め、さっぱりすることでぐっすり寝られるなどお風呂に入ることの利点が見直され、最近では「風邪気味=お風呂はダメ」という従来の考え方は否定されています。
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(Q3)よく風邪は人にうつすと治ると言いますが本当でしょうか?

(A3)これは全く医学的根拠のない事です。風邪が治るのは体の中に風邪のウイルスが増殖するのを抑えるインターフェロンという物質ができ、リンパ球などの免疫担当細胞が風邪のウイルスをやっつけてくれるからです。人にうつすことで治るというメカニズムはありえない事です。風邪をひいた方が、周りの人に風邪をうつして周りの人に風邪の症状がでる頃には、前述したメカニズムで風邪が治ることから、そのような事が言われるようになったのではないかと思います。
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(Q4)インフルエンザと普通のかぜはどう違うのですか?

(A4)普通のかぜとインフルエンザを混同してはいませんか。普通のかぜはライノウイルスやコロナウイルス等の感染によって起こります。症状としては、のどが痛む、鼻がむずむずする、水様の鼻汁が出る、くしゃみや咳が出るなどが中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはめったにありません。一方、インフルエンザにかかると三九度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強く、あわせて、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。さらに、気管支炎、肺炎などを併発し、重症化することが多いのもインフルエンザの特徴です。また、インフルエンザは流行が爆発的に始まり、短期間に乳幼児から高齢者まで膨大な人を巻き込むという点で普通のかぜとはっきり区別されます。さらに、普通のかぜが流行しても死亡する人はあまり増えませんが、インフルエンザが流行すると、六五歳以上の高齢の人々で死亡率が普段より高くなるという点でも大きな違いが見られます。
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(Q5)インフルエンザにかからないためにはどうすればよいのですか?

(A5)予防の基本は、流行前に予防接種を受けることです。今年はワクチンが足らなかったので心配です。インフルエンザが流行してきたら、人混みは避けましょう。特に高齢者や慢性疾患を持っている人は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。疲れている時や睡眠不足の時に外出すると、インフルエンザに非常に感染しやすくなります。インフルエンザウイルスは湿気に非常に弱いので、室内では加湿器などを使って適度の湿度を保ちましょう。常日頃からバランスよく栄養をとることも大切です。また、外出時のマスクや帰宅時のうがい、手洗いは、かぜの予防と併せておすすめします。
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